大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和39年(わ)4993号 判決 1965年9月04日

主文

被告人玄乙福を懲役一年四月に、

被告人金庭春を懲役一年に、

それぞれ処する。

本裁判確定の日から三年間、被告人両名に対する右各刑の執行を猶予する。

理由

(事実)

被告人玄乙福は、ビニール靴材料の製造販売を業とするみやま化工株式会社の代表取締役であり、被告人金庭春は、貸金業者で、昭和三八年二月五日迄に、約四五八〇万円の金員(元本)を、右みやま化工株式会社に貸付けていたところ、同会社は、同月五日一般支払を停止し、同年五月二七日破産宣告をうけ(大阪地方裁判所昭和三八年(フ)第四二号破産申立事件)、この決定は同年六月二二日確定した。被告人両名は、これに先立ち、昭和三八年二月四日頃、右会社が債務超過となり徳山泓志ほか約五〇名の一般債権者に対して、支払不能となることを認識しながら、共謀の上、被告人金庭春の利益を図る目的をもつて、大阪市西成区橘通三丁目一一番地被告人金庭春方において、同人に対し右会社の破産財団に属する現金五〇〇万円を支払つたほか、同じく破産財団に属する受取手形金額合計七四一万六、九一五円、受取小切手金額合計二五二万三、六九〇円、ビニールスポンヂ、コール天その他商品(価格約二〇〇万円)並びに信用組合大阪商銀に対する出資金返還請求権、預金債権等五四二万九、四三四円、株式会社三和銀行(萩之茶屋支店)に対する預金債権一二九万二、五六五円、株式会社福徳相互銀行(萩之茶屋支店)に対する預金債権一四三万七、〇九六円を弁済のため譲渡し、もつて、これらを右一般債権者の不利益に処分したものである。

(証拠)(省略)

(法令の適用)

破産法第三七四条第一号、同法第三七六条前段。刑法第六〇条第六五条第一項。同法第二五条第一項第一号。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例